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貸金庫開扉の方法|共同相続財産の管理ポイントを解説

「親から貸金庫を相続したが扱いに困っている」
「そもそも共同で相続した財産の管理について知りたい」
遺産分割前で困っている方、相続人となった方、相続手続きで迷ったことはありませんか?
民法の観点から貸金庫開扉の方法や共同相続財産の管理ポイントを解説します。
貸金庫の開扉は処分行為
東京地判平8・5・17では、貸金庫の開扉も処分行為と捉え、相続人全員の立会によって開扉と格納品の搬出を認めることにしています。
貸金庫の開扉は原則共同相続人全員の立会いが必要
相続した貸金庫の開扉は、原則共同相続人全員の立会いが必要です。
しかし、必ず全員の立会いをしなければならないというのは、難しい場面も多いです。
そこで、貸金庫を開扉する3つの方法をご紹介します。
共同相続人全員の同意を得て開扉する
共同相続人全員が同じ日に集まれない場合は、あらかじめ共同相続人全員から同意書を集めます。
代表者が貸金庫を開けることが可能です。
ただし、中身の確認だけで、中身を持ち帰ることはできません。
中身を持ち帰ることができるのは、やはり共同相続人が全員集まった場合か、弁護士・行政書士などの専門家が立ち会った場合になります。
共同相続人全員の立会のもと開扉する
相続した貸金庫を開ける原則は、共同相続人全員の立ち会いが必要です。
どうしても当日立ち会いできない相続人がいる場合は、委任状を作成し代理人に来てもらうことも可能です。
遺言執行者が開扉する
被相続人が遺言書で遺言執行者を指定している場合、遺言執行者が貸金庫の開扉、中身の取り出しができます。
金融機関により扱いが異なる場合がある
貸金庫の開扉については、金融機関により扱いが異なる場合があります。
詳しくは金融機関にご確認になるか、専門家にお問い合わせください。
共同相続人による共同財産の管理
貸金庫だけでなく、そもそも共同相続財産一般の管理ポイントを民法に照らし合わせて解説します。
相続開始から相続の放棄・承認まで
相続開始から相続の放棄・承認までは、共同財産の管理は「自己の財産におけるのと同一の注意」を持って管理しなければなりません。
民法
第九百十八条 相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければならない。ただし、相続の承認又は放棄をしたときは、この限りでない。
「自己の財産におけるのと同一の注意」とは、民法における注意義務の一つです。
「善良な管理者の注意」いわゆる「善管注意義務」も民法の定める注意義務です。これは、より慎重な注意・プロの注意で物事を扱うことと考えていいでしょう。
「自己の財産におけるのと同一の注意」とは、この善管注意義務よりは一段注意義務が軽減されたものです。
つまり、相続開始から相続の放棄・承認までは、善管注意義務よりは少し軽減された注意義務で財産を管理することとなっています。
単純承認から遺産分割完了まで
単純承認から遺産分割完了までの相続の管理については、規定がありません。
よって、物権法の共有に関する規定に従うことになります。
使用行為
共同相続人は、各相続財産の全部について、共有持分に応じて使用することができます。
また、使用する共有者は、他の共有者に対して、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負います。
第二百四十九条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
2 共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。
3 共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしなければならない。
保存行為
保存行為は、各相続人が単独でできます。
第二百五十二条
5 各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。
保存行為とは、
- 建物の修理
- 税金の納入
- 共有名義の相続登記
- 無効な登記の抹消
- 不法占拠者の廃除
- 時効の中断
などが挙げられます。
管理行為
管理行為および共有物の管理者の選任・解任は、各相続人の共有持分による多数決によって決定されます。
第二百五十二条 共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。
管理行為は、
- 賃貸中の財産の賃料の取り立て
- 現金を預金にする
- 短期賃貸借
などです。
処分行為・変更行為
処分行為・変更行為は、相続人全員の同意が必要です。
第二百五十一条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
処分行為・変更行為には、
- 相続財産の売却
- 担保の設定
- 農地の宅地への変更
などが挙げられます。
共同相続人の一人甲が遺産分割前に、遺産の一部である農地を無断で非農地化した事案。
これを変更行為に当たるとして、他の相続人は各自の共有持分に基づいて、甲の行為の全部の禁止及び現状回復を請求することができるとした。
かかった費用
単純承認から遺産分割完了までの相続の管理にかかった費用は、「相続財産に関する費用」として相続財産の負担となります。
第八百八十五条 相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁する。ただし、相続人の過失によるものは、この限りでない。
まとめ
貸金庫の開扉ほか相続した財産の共同管理について民法の視点から解説しました。
相続の承認はしたけれど、遺産分割協議がまだである等、相続手続きにお困りの方は行政書士にご相談ください。
相続手続きがわからない、遺産分割協議書を作りたいとお考えの西宮市・尼崎市の方は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。